前回の記事では、「相場が暴落したときの対応」をご紹介しました。
その際、リバランスについて触れましたが、今回は3つの分散とポートフォリオのリバランスについて、まとめてみました。
ご一読いただければ、幸いです。
「相場が暴落したときの対応」については、以下の記事も参照してください。
目次
3つの分散とは?
投資の世界では、「変動・振れ幅・ブレ」を「リスク」と言います。
投資のリスク(振れ幅)を減らし、運用成果を安定させるためには、「長期・積立・分散」を活用する必要があります。
これらの要素は、それぞれが投資のリスクを減らすために必要不可欠な戦略です。
ただし、投資のリスクを減らすことができますが、投資先や時間を分散するため、急激に資産を増やすことは難しくなります。
時間をかけて運用するためには、3つの分散を心がける必要があります。
3つの分散とは、
- 資産・銘柄の分散
- 地域の分散
- 時間の分散
のことです。
それぞれについてみていきましょう。
資産・銘柄の分散
資産(アセット)は、現預金・株式(国内/海外)・債券(国内/海外)・不動産・コモディティ(金・原油などの商品)などに分類されます。
アセットごとに景気の変動などの影響を受け方が異なるため、それぞれのアセットの値動きが相殺され、リスクを軽減することができます。
また、ひとつのアセットのみに投資をした場合でも、値動きの異なる複数の銘柄を保有すれば、アセットの分散ほどではありませんが、リスクを軽減することができます。
なお、ファンド(投資信託・ETF)であれば、自動的に分散投資を行っていることになるため、分散投資と同じ効果が期待できます。
地域の分散
地域の分散は、日本・アメリカ・欧州・アジア・全世界など地域別の株式や債券などに分けて投資(国際分散投資)することです。
世界の国々はそれぞれ経済の状況が異なり、景気の良し悪しには差が生じます。
経済状況は、国ごとに絶えず、好不況を繰り返しているため、異なる国々に分けて投資を行えば、リスクを分散させることが可能になります。
時間の分散
一度に集中してお金を投じると、投資後の資産の値動きが気になり、心理的な負担も大きく、投資を続けることが難しくなります。
また、まとまったお金ができるまで待つことで、投資を始めるのが、遅くなることになります。
少額を複数回に分け、時間を分散して、投資を行えば、資産の動きが集中投資に比べて小さくなります。
そのため、集中投資よりも余裕を持って投資を行うことができます。
ポートフォリオを組む
ポートフォリオとは、金融資産の組み合わせのことです。
ポートフォリオを組む際は、金融商品の偏りや同じ業種の銘柄ばかりを保有しないように、国内株式や国内債券、外国株式や外国債券などを組み合わせます。
自分のリスク許容度を考慮し、希望するリターン(収益率)が実現できる金融商品を選択しつつ、資産の割合を決めていきましょう。
そうすることで、それぞれの金融商品のリスク(リターンの振れ幅)が分散され、分散投資の効果が発揮されます。
ただし、ポートフォリオは各資産の成長スピードが異なるため、時間の経過とともに当初の配分が崩れる場合があります。
また、年齢とともに大きなリスクを取りにくくなるため、定期的な見直しをして、再配分する必要があります。
このアセットの再配分を「リバランス」といいます。
リバランスする
リバランスといえば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が参考になります。
GPIFは、私たちの年金を運用している機関で国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の比率がほぼ均等になるように一定の変動幅に収まるようにリバランスしています。
リバランスを成功させるためには、短期的な市場の動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視野で投資を行うことが重要です。
そのためにも自身のリスク許容度や投資目的を明確にし、それに基づいて投資を行うことが重要となります。
GPIFのように国内株式、国内債券、外国株式、外国債券を均等に持つ必要はなく、投資目的に合わせ、リターンとリスクのバランスが良いアセットの資産比率を決めましょう。
時間の経過により当初の資産比率からズレが生じた場合やライフスタイルの変化などにより資産比率を変更する場合、資産の売却・購入でリバランスを行うと手数料や税金などが発生します。
そのため、比率が大きくなり過ぎた資産の購入額を減らし、逆に比率が小さくなり過ぎた資産の購入額を増やすことで徐々に理想の比率に近づけていくことをオススメします。
また、投資はリスクを伴うため、自身の財務状況やリスク許容度を十分に考慮した上で、適切な投資判断を行うことが必要です。
まとめ
今回は、投資先や時間などを分散することで投資のリスクを減らす「3つの分散」とポートフォリオのリバランスについて、まとめてみました。
安全な資産運用は、「年金」に頼り、世界の経済成長は今後も続くという予想のもと、全世界株式ファンドのみで運用することも一案だと思います。
しかし、株式ファンドの価格変動は大きいため、退職などにより資産を取り崩す必要がある時期が近い場合は、債券など、リスクの低い金融商品の組み入れも考慮したほうが良いと思います。
資金が必要な時に相場が暴落し、慌てないためにも、暴落を想定し、適切な対応方法を考えておきましょう。
なお、本記事に記載した情報や意見によって発生した損害や損失については、一切責任を負いません。
投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。