株主優待株を有効活用? 「貸株サービス」のメリットとデメリット

通常、株式を長期保有している場合、株主優待や配当金を受け取れます。

しかし、ただ長期保有するだけでは「もったいない…」と思うことはありませんか?

そんなときは、貸株サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか?

貸株サービスとは、投資家が保有している現物株式を証券会社に貸し出すことで、証券会社からこれに見合う貸株金利を受け取ることができるサービスです。

このサービスを利用すると、保有している現物株式を有効活用することができます。

しかし、貸株サービスにはデメリットも存在します。

今回は、貸株サービスについて、まとめてみました。

ご一読いただければ、幸いです。

目次

貸株サービスとは?

そもそも貸株とは、SBI証券、楽天証券、松井証券などの証券会社が行っている仕組みで以下の2つから成り立っています。

  • 投資家が証券会社に株を貸し出すこと (こちらが「貸株サービス」)
  • 証券会社が他の投資家に株を貸し出すこと

「貸株サービス」とは、投資家が持っている現物株式を証券会社に貸すことで、見返りとして貸株金利(約0.1%~)を受け取ることができるサービスです。

一方で現物株式を借りた証券会社は、その株を機関投資家など他の投資家に貸し出し、貸株金利を受け取ります。

貸株は主に以下のような目的で使用されます。

  • 信用取引
  • 市場の流動性向上
  • 決済安定性の向上

【信用取引】

証券会社は、投資家から借りた株式を他の投資家に貸し出します。

これは主に空売りを行うための信用取引で使用されます。

【市場の流動性向上】

貸株により、市場に出回っていなかった株式が流通することになり、市場の流動性が向上します。

【決済安定性の向上】

貸株により、株式の供給が増えるため、株式の決済がスムーズに行われ、市場の安定性が向上します。

これらの活動は、市場全体の健全な機能を維持するために重要な役割を果たしています。

なお、「貸株サービス」を利用するためには、証券会社の口座からサービス利用の申し込みをする必要があります。

貸株サービスの主なメリット

証券会社によって貸株サービスの詳細や条件が異なりますが、貸株サービスを利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 貸株金利を受け取れる
  • 貸出中も自由に売却可能
  • 保有株式の有効利用

【貸株金利を受け取れる】

貸株サービスを利用すると、保有している現物株式を証券会社に貸し出すことで、貸株金利を受け取ることができます。

これは、株式を保有しているだけで得られる収入であり、銀行預金などと比べても高い利回りを期待できます。

【貸出中も自由に売却可能】

貸株サービスを利用していても、貸出中の株式はいつでも売却することが可能です。

これにより、市場状況に応じて柔軟に投資戦略を立てることができます。

【保有株式の有効利用】

貸株サービスを利用することで、長期保有している株式を有効に利用することができます。

これにより、株式の保有だけでなく、貸株による金利収入も得ることができ、投資効率を向上させることが可能です。

なお、貸株金利は証券会社によって異なりますので、実際に貸株サービスを利用する前に調べておく必要があります。

貸株サービスの主なデメリット

一方で貸株サービスには以下のようなリスクが存在します。

  • 証券会社の倒産リスク
  • 配当金の税金の扱い
  • 株主優待の継続保有特典の権利を失う
  • NISA口座の保有株に対応していない

【証券会社の倒産リスク】

通常、投資家の株式と証券会社の株式は分離して保管されているため、証券会社が破綻しても投資家の株式は保護されます。

しかし、貸株の場合、株式の名義が一時的に証券会社のものとなります。

そのため、証券会社が破綻した場合、貸し出した株式は証券会社の保有株とみなされ、投資家に返還されない可能性があります。

これは、経営状態に問題のない証券会社で取引をすることで回避することができます。

【配当金の税金の扱い】

貸株を行うと、配当金ではなく「貸株配当金相当額」が支払われます。

通常の配当金は、給与所得などと分離して課税される申告分離課税で、その税率は20.315%です。

しかし、貸株配当金相当額は、申告分離課税ではなく、雑所得になります。

そのため、その他の雑所得と合算し、20万円を超えた場合は、給与所得など他の所得と合わせ、総合課税の対象となります。

課税所得額が増えた場合、所得税や住民税が増額となる可能性があるため、注意が必要です。

また、雑所得扱いになると配当控除を受けることができなくなり、株取引の利益と相殺する損益通算の対象とすることができません。

対策としては、権利付最終売買日のみ「貸株サービス」を解除し、「貸株配当金相当額」ではなく、「配当金」を受け取ることです。

なお、証券会社によっては、権利付最終売買日のみ「貸株サービス」を自動で解除する設定をすることができます。

【株主優待の継続保有特典の権利を失う】

権利付最終売買日を跨いで貸株サービスを利用した場合、各種権利(議決権や株主優待等に係る権利)を失うおそれがあります。

こちらも証券会社によっては、権利付最終売買日のみ「貸株サービス」を自動で解除する設定をすることができます。

しかし、所有名義が一時的に証券会社のものとなるため、一定期間の同一名義で株式を保有することが条件になっている銘柄では、長期継続保有の特典を受けられません。

大量の株式を保有している場合は、長期継続保有の権利獲得に必要となる株数を「貸株サービス」の対象から外すことで対策が可能です。

また、保有株のすべてが長期継続保有の権利獲得対象となっている場合は、この銘柄のみ「貸株サービス」の対象から外すことで対応が可能です。

【NISA口座の保有株に対応していない】

NISA口座で保有している株式を貸株にすることはできません。

貸株サービスを利用できるのは、特定口座か一般口座で保有している現物株式のみです。

前回の記事で書きましたが、株主優待は企業の業績悪化で改悪されることもあるため、株主優待がる企業の株式は、NISA口座での保有に向いていないのかもしれません。

まとめ

今回は、長期保有している株式を有効利用する方法として、「貸株サービス」を紹介しました。

「貸株サービス」の対象銘柄・サービス内容は証券会社各社によって異なります。

詳細は各証券会社のウェブサイト等でご確認ください。

これらのメリットとデメリットを検討したうえ、ご自身の投資戦略に合わせて、ご活用ください。

なお、税金については、所轄税務署や税理士に相談してから、判断してください。

また、本記事に記載した情報や意見によって発生した損害や損失については、一切責任を負いません。

投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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