インデックス積立投資の出口戦略 必要性とその理由 資産運用 十歩目

今までの記事では、「資産を増やすこと」について、ご紹介しました。

せっかく積み上げてきた資産ですが、いつかは「取り崩す日」がやってきます。

今回は、インデックス積立投資の取り崩し方(出口戦略)について、まとめてみました。

出口戦略は、投資を行う際の非常に重要な要素です。

それは、投資を始める前や投資中に、「いつどのように投資を終了するのか」、「いつ損益を確定させるのか」を計画しておくことで、「投資目標の達成」、「投資成績」に良い影響があるからです。

ご一読いただければ、幸いです。

目次

そもそもインデックス積立投資とは?

インデックスファンドとは、インデックス(指数)に連動する成績を目指し、投資家から集めたお金をファンドマネージャーと呼ばれる投資の専門家が国内外の株式などに投資して運用する金融商品です。

運用は、プロに任せることができ、複数の銘柄への分散投資により値動きリスクが低減される分散効果が期待できます。

また、少額から投資を始めることができるため、

  • 金融についての知識があまりない
  • 大きな資金が用意できない
  • (個別銘柄の)相場の大きな値動きについていけない

といった初心者でも簡単に資産運用をはじめることができます。

ファンドマネージャーの過度な介入がないため、運用コストも低い反面、市場の動きを上回る利益を得ることは期待できません。

しかし、インデックスファンドへの定額投資を長期間継続した場合、ファンドを安いときは多く、高いときは少なく購入することができるため、平均取得単価を下げることができます。

株式を対象としたファンドであれば、おおむね10~20年の期間であれば、評価益が出ていると思います。

「インデックス積立投資」については、下記の記事も参照してください。

出口戦略とは? その必要性

出口戦略とは、今まで購入・保有してきた金融商品の売却ルールのことです。

売却する時になって出口戦略を考え始めるのでは遅く、資産運用を始める前、遅くとも運用開始後のできるだけ早い時期に考えておく必要があります。

また、出口戦略は、単に資産を売却するだけでなく、その後の資金の運用や再投資の計画など、投資全体の戦略を練るうえでも欠かせない要素になります。

それは、出口戦略が「投資目標の達成」、「投資成績」に影響があるからです。

「投資目標の達成」に影響があるのは、そもそも「何らかの目的」があって投資を始めたはずだからです。

老後資金を確保するなどの使い道を想定して、投資を行う場合は、目標額とそれまでの期間が明確になります。

目標額とそれまでの期間が明確であれば、計画的な積み立てを継続することが容易になります。

また、インデックス積立投資以外の資産運用に挑戦したい場合は、「コア・サテライト戦略」を採用することで、コア部分で手堅く資産形成をしながら、サテライト部分で資産運用を楽しむこともできます。

「投資成績」に影響するのは、金融商品は、売却して初めて損益が確定するからです。

最も多く利益を得るためには、最適なタイミングでの売却が必要になります。

ただし、そのタイミングを判断することは難しいです。

それは、評価額が、まだ上がるかもしれない、もっと下がるかもしれないといった心理に負けてしまうからです。

「コア・サテライト戦略」については、下記の記事も参照してください。

具体的な出口戦略

出口戦略では、「いつ売るか(売却するタイミング)」と「どれだけ売るか(売却する量)」を考える必要があります。

具体的な出口戦略は、以下の3つです。

  • 一括売却
  • 定期売却
  • 売却しない(配当収入)

【一括売却】

投資した資産を一度に全て売却し、利益を確定させる方法です。

この方法は、市場が好調な時や投資目標を達成した時に適しています。

運用している金融商品がすべて現金化されるため、まとまったお金を得ることができます。

【定期売却】

投資した資産を定期的に少しずつ売却し、長期にわたって利益を得る方法です。

資産の追加購入は行わず、資産を少しずつ定期的に取り崩していくことになります。

定期的に一定額を投資する「積立投資」の逆と考えるとイメージしやすいかもしれません。

保有資産を運用しながら、その一部を長期間かけて、取り崩していくため、資産の延命を図ることができます。

【売却しない(配当収入)】

投資した資産から得られる配当金や分配金などの収入だけを利用し、資産を売却しない方法です。

資産の追加購入は行わず、保有資産の運用は継続することになります。

年金などの他の収入があれば、もっとも長く資産を延命させることができ、資産が増えてしまうことも十分に考えられます。

ライフステージに合わせた資産運用

出口戦略を立てる場合は、ライフステージに応じた資産の組み合わせ(ポートフォリオ)を

考える必要があります。

ライフステージに応じて、許容できるリスクが変化していくからです。

ライフステージは、以下の3段階に分けることが、一般的です。

  • 積極運用期
  • 運用継続期
  • 取り崩し期

【積極運用期】

定期的な収入がある期間は、資産を積極的に運用して増やしていくことができます。

具体的には、仕事から引退するまでの期間です。

この時期は、金融商品の売却によるポートフォリオのリバランスは不要で、購入比率の調整で十分です。

ただし、子育て中や退職・引退が近い場合は、ハイリスク・ハイリターンを目指す運用は控えたほうがいいでしょう。

遅くても退職・引退の10年くらい前には、出口戦略をより具体的に考える必要があります。

退職金、住宅ローンの残金、年金の受給額なども考慮し、老後資金が十分に用意できているかを計算してみましょう。

余裕があれば、早めに追加購入を終了し、自分や家族のために使うのも大切だと思います。

【運用継続期】

仕事から退職・引退する前の5~10年くらいの期間です。

収入が大きく減少する時期でもあり、資産の棚卸しとポートフォリオの再編が必要になります。

運用資金を新しく得ることが難しくなるため、ハイリスクの金融商品を売却し、ローリスクの金融商品に移行していく時期になります。

そうすることで予期しない資産の減少リスクを軽減することができるでしょう。

金融商品の移行は、一度で行うのではなく、5~10年くらいの長期間で入れ替えていきましょう。

まだまだ、元気なこの時期は、余裕資金を自分や家族のために使うのも大切だと思います。

【取り崩し期】

これまでの運用で増やしてきた資産を少しずつ取り崩しながら生活する期間です。

資産を失った場合、回復させるのは、非常に困難です。

資産運用を継続することで資産を延命させることはできますが、逆に資産を減らすこともあります。

資産運用を継続する場合は、ローリスクの投資を心がけましょう。

「ポートフォリオのリバランス」については、下記の記事も参照してください。

インデックスファンドの「定期売却」について

出口戦略には、「一括売却」、「定期売却」、「売却しない(配当収入)」の3種類が考えられます。

「売却しない(配当収入)」が理想的なように思えますが、「あの世にお金は持っていけない」ため、「定期売却」が最もよいと思われます。

定期売却のメリットは、運用を継続しながら、現金化できることです。

一括売却の場合、相場が下落時に売却すると利益が減ってしまいますし、インフレが進んだ場合、現金の価値も下がってしまいます。

定期売却ではインデックスファンドの一部のみを売却し、残りで運用を継続するため、資産の成長によりインフレに対抗することもできます。

平均寿命も延びているため、「資産の寿命」も延ばす必要があります。

なお、定期売却は、以下の3つに分けられます。

  • 定額法
  • 定率法
  • 定口法

それぞれの特徴は、

【定額法】

たとえば、毎月10万円など、一度に売却する金額を設定し、毎回一定の金額を取り崩していく方法です。

毎回の売却で受け取る金額は安定しますが、基準価額が変動するため、売却するファンドの口数も変動します。

そのため、保有しているファンドが完全に売却されるまでの期間は明確にならず、基準価額が安いほど多くの口数を売却することになります。

【定率法】

たとえば、毎月4%など、保有しているファンドを一定の割合を売却していく方法です。

売却時に受け取る金額は、毎回変動しますが、基準価額が安いほど多くの口数を売却することはありません。

一方で保有しているファンドが完全に売却されるまでの期間は「定額法」と同様に明確になりません。

【定口法】

たとえば、毎月50口など、保有しているファンドを一定の口数で売却していく方法です。

売却時に受け取る金額は、毎回変動しますが、基準価額が安いほど多くの口数を売却することはありません。

一方で保有しているファンドが完全に売却されるまでの期間は「定額法」、「定率法」と異なり、明確になります。

3種類のうち、どれが適しているのかは、必要なお金や取り崩しを始める際の資産額などによって異なります。

個人的には、ルールが簡単な「定口法」を基本とし、お金が必要なときは多めに取り崩そうと考えています。

また、基準価額が安いときは、一時的に取り崩しを中止し、「生活防衛資金」を取り崩すことで対応しようと思います。

もちろん、リタイアの直前までに「生活防衛資金」を多めに用意しておくこと、リタイア後に「生活防衛資金」を使った場合は、基準価額が回復した時にファンドを多めに売却して元に戻すことが前提になりますが…

なお、「コア・サテライト戦略」を採用している場合は、ハイリスク・ハイリターンを期待するサテライト資産を先に売却し、その後、コア資産を定期売却することになります。

ただし、個々の投資家の状況に応じて最適な戦略は異なるため、専門家に相談することをオススメします。

「生活防衛資金」については、下記の記事も参照してください。

まとめ

今回は、インデックス積立投資の出口戦略について、まとめてみました。

「人生100年時代」といわれる現在、インデックス積立投資は、老後資金を形成するための有効な手段です。

面倒な運用は、専門家に任せ、リスクを分散し、資産運用をすることができるからです。

一方で売却については、「いつ売るか(売却するタイミング)」と「どれだけ売るか(売却する量)」を自分で決める必要があります。

資産寿命を延ばすためにも、ライフプランに合わせた出口戦略を考えておきましょう。

出口戦略を考える際には、税金や手数料などについても総合的に考慮することが重要です。

また、新しい税制や制度の変更にも注意を払う必要があります。

より具体的なアドバイスが必要であれば、金融アドバイザーや投資の専門家に相談することをオススメします。

なお、本記事に記載した情報や意見によって発生した損害や損失については、一切責任を負いません。

投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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