資産運用に興味があるけど、「どうやってリスクを抑えつつリターンを増やすか悩んでいる」「FXを試したいけど、時間がない」という皆さん、ようこそ!
今回は、資産運用の「サテライト戦略」として、私が実際に取り組んでいるFXの売買手法「グリッドトレード戦略」について解説します。
グリッドトレードの基本、メリット・デメリットについて記載していますので、ご一読いただければ幸いです。
目次
サテライト戦略とは?資産運用のコアとサテライトの考え方
コア・サテライト戦略の基本
資産運用では、リスクとリターンをバランスさせるために「コア・サテライト戦略」が使われます。
この戦略は、ポートフォリオを2つに分ける考え方です。
サテライト戦略は、「コアで安定させつつ、サテライトで攻める」ことで、全体のリスクを抑えながらリターンを底上げする手法です。
「コア・サテライト戦略」については、以下の記事も参考にしてください。
FXのグリッドトレードをサテライトに組み込んだ理由
FXのグリッドトレードは、サテライト戦略にピッタリの理由がいくつかあります。
- 自動化で手間いらず:忙しい人でも設定すれば放置可能
- レンジ相場で安定利益:小さな値動きでコツコツ稼げる
- リスク管理の柔軟性:損失を限定する設定で、コアの安定性を損なわない
- それなりに高いリターン:月1〜3%の利益も可能(リスク次第)
「ほったらかし」で運用でき、ポートフォリオのスパイスとして活用可能なため、サテライトの「攻めの運用」に適していると考えています。
グリッドトレードとは?
グリッドトレードの基本概念
グリッドトレードは、FX(外国為替証拠金取引)の自動売買戦略の一つで、価格が一定の範囲(レンジ相場)で上下する時に、小さな利益を積み上げる手法です。
イメージは、価格の上下に「網(グリッド)」を張って、値動きごとに利益を捕まえる感じです。
仕組み
- 基準価格(例:USD/JPY=140円)から一定間隔(例:0.5円=50pips)で複数の注文を配置
- 価格が動くたびに注文が実行され、逆方向に動くと利益を確定
- このサイクルを繰り返す
【トレード例】
- イフダン注文: 140.0円で買い注文(Entry)、140.5円で買い注文(Exit)
- 新規約定: USD/JPYが140.0円に下がり、買い注文が約定
- 決済約定: USD/JPYが140.0円に戻り、売り注文が約定
- 利益確定: この取引で50 pipsの利益が確定
サテライト戦略での役割
グリッドトレードは、サテライト戦略で以下のような役割を果たします。
- 短期利益の追求
- 分散効果
- 時間効率
短期利益の追求
コアのインデックスファンドが年3〜5%を狙うのに対し、グリッドトレードは月1〜3%の利益が狙えます。
分散効果
株式や債券と相関が低いFXは、ポートフォリオのリスク分散に貢献します。
時間効率
自動化で監視の手間が少なく、資産運用以外の活動に集中できます。
グリッドトレードの仕組み
基本の流れ
グリッドトレードのステップを具体的に見てみましょう。
- グリッドを設定
- 新規約定
- 決済約定
- 再注文
1. グリッドを設定
基準価格(例:140円)から一定間隔(例:50pips)でイフダン注文(IFD)を置く(No.1~10の注文)

2. 新規約定
USD/JPYが138.5円まで下落し、138.5~140円の買い注文が約定(No.1~No.4の保有開始)

3. 決済約定
USD/JPYが140円まで再上昇し、139~140円の売り注文が約定(No.2~4が決済)

4. 再注文
決済されたNo.2~No.4のセットを再注文(No.1は継続保有)

このトレードの利益
このトレードでの利益は、50 pips × 3 (+スワップ)です。
スワップを150円/10,000米ドル/日とし、新規約定から決済約定までの期間が2日とすると...
1,000米ドルで取引する場合は、500円 × 3 + 15円 × 3 × 2 = 1,590円
10,000米ドルで取引する場合は、5, 000円 × 3 + 150円 × 3 × 2 = 15,900円
になります。
また、保有を継続しているNo.1のポジションについては、決済されるまでスワップが発生し続けます。
グリッドトレードのメリット・デメリット
グリッドトレードのメリットは、以下3点であると私は考えています。
- レンジ相場での安定利益
- 自動化による時間効率
- 市場予測が不要
レンジ相場での安定利益
一定の範囲での値動きを繰り返すレンジ相場では、新規・約定が繰り返され、利益が蓄積していきます。
自動化による時間効率
決済されるごとに再度イフダン注文を入れることで手動でも対応は可能ですが、以下の会社では自動売買サービスも提供しています。
自動注文を設定しておけば、解除するまで自動で注文を繰り返すため、効率的です。
- マネースクエア:トラップリピート(通称 トラリピ)
- アイネット証券:ループイフダン
- 松井証券:自動売買
市場予測が不要
取引する範囲を決定し、自動注文を設定してしまえば、設定範囲内で相場が乱高下しても同じトレードが繰り返されます。
そのため、取引のたびにチャートを見ながら、市場を予測し、売買の判断をすることはありません。
一方でグリッドトレードには、以下のデメリットがあると私は考えています。
- トレンド相場での含み損の拡大(場合によっては強制ロスカット)
- マイナススワップによる利益の減少(場合によっては赤字決済)
- まとまった資金が必要
トレンド相場での含み損の拡大(場合によっては強制ロスカット)
継続的に下降局面に向かっているトレンド相場で「買い向かう」ことを前提としたグリットトレード戦略では、買いポジションが蓄積し、大きな含み損を抱えることになります。
逆に継続的に上昇局面に向かっているトレンド相場で「売り向かう」ことを前提としたグリットトレード戦略では、売りポジションが蓄積し、大きな含み損を抱えることになります。
さらにトレンドが継続した場合は、証拠金不足による強制ロスカットが発生し、大きな資金を失う恐れがあります。
マイナススワップによる利益の減少(場合によっては赤字決済)
新規約定後、ポジションを保有していると通貨間の金利差によるスワップが発生します。
金利が高い通貨を売っている場合は、このスワップがマイナスになります。
ポジションを長期間保有する可能性があるグリットトレード戦略では、蓄積したマイナススワップにより価格変動による利益がなくなり、決済時に赤字になることがあります。
まとまった資金が必要
グリットトレード戦略では、複数のポジションを保有することが前提となるため、運用に必要な資金を多めに用意する必要があります。
資金が少なすぎる場合は、十分な価格帯をカバーすることができず、わずかな値動きで取引範囲から外れてしまったり、強制ロスカットになってしまう場合があります。
デメリットを最小化する方法
デメリットを最小化する方法として、私は以下の方法を試しています。
トレンド相場での含み損の拡大
証拠金は多めに用意し、戦略と逆行したトレンドが継続した場合でも強制ロスカットにならないように少ない通貨単位で取引ができる会社を使用しています。
マイナススワップによる利益の減少
同じ通貨ペアで「買い」と「売り」を混在させることにより、スワップの影響を軽減させる方法もありますが、私は「保有することでスワップがもらえる」ものだけに取引を限定しています。
戦略と逆行したトレンドが継続した場合、含み損は増えますが、「外貨預金」の代わりと考え、気にしないようにしています。
まとまった資金が必要
証拠金は多めに用意するようにしていますが、1つ1つのポジションは小さめにし、一定の価格帯をカバーできるようにしています。
また、定期的に証拠金維持率を確認し、必要があれば、追加入金ができるようにしています。
利益確定が続いた場合や臨時収入による追加入金があった場合、運用中でも取引する通貨量を増やすことができる会社のため、柔軟な対応が可能です。
まとめ
グリッドトレードは、サテライト戦略に適したFX手法です。
自動化で手間いらず、レンジ相場でコツコツ利益を積み上げることが可能です。
リスク管理を徹底すれば、安全な運用もできます。
一方でリスク管理を怠ると大きな損失につながります。
実際に運用する場合は、
- 十分な保証金の確保
- 低レバレッジでの運用
- 定期的な運用状況の確認
を心がけましょう。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
投資は自己責任で行ってください。