前回の記事では、「インデックス」について、あらためて整理し、「パッシブ運用」と「アクティブ運用」についても触れてみました。
長期間の積立投資では、相場の暴落は避けることができません。
今回は、相場の暴落時の対応について、まとめてみました。
ご一読いただければ、幸いです。
インデックスについては、以下の記事も参照してください。
目次
暴落時の心理状態
暴落が起きた場合、投資家の心理状態と行動には以下のような特徴があります。
- 恐怖と不安
- 感情的な決定
- 過剰反応
価格の急激な下落が発生すると恐怖や不安を感じることが多くなります。
恐怖や不安を感じると小さなニュースや噂に過剰に反応して、冷静な判断ができなくなり、感情に基づいた決定をしてしまうことがあります。
人間には損失を避けようとする傾向があるため、さらなる下落を恐れて、損失を最小限に抑えようと、損切りや投げ売りといった行動をし、これがさらにパニック売りを加速させます。
暴落の原因や将来の見通しを冷静に分析することなく、急いで行動に移すことが原因ですが、これらの心理的な罠を避け、長期的な視点を保つことが重要です。
そのためには、暴落時の対応を事前に考えておきましょう。
暴落時の対応戦略
インデックス投資で市場が暴落した際の対応には、主に以下の3つの方法があります。
- 無視する
- リバランスする
- 損切りする
【無視する】
インデックスファンドへの積立投資は、「長期・積立・分散投資」の3つのポイントを押さえながら運用する投資法です。
そのため、長期的な視点で見れば、市場は回復するという考えのもと、暴落を無視し、投資を続けるという選択が最も一般的な戦略になります。
【リバランスする】
インデックスには、株式・債券・不動産など投資対象となる資産が異なるもの、日本・アメリカ・全世界など投資対象となる地域が異なるものなど、様々な資産クラスがあります。
そのため、市場が暴落した場合でも、インデックスを構成する銘柄により、影響の大きさが異なります。
複数のインデックスファンドに投資している場合は、資産配分を見直し、ベースとなる資産比率に戻すことで、リスクを管理しながら投資を続けるという戦略もあります。
この場合、次回の購入時に評価額の比率が大きくなったファンドの購入額を減らし、逆に評価額の比率が小さくなったファンドの購入額を増やすことが一般的です。
リバランスのためにファンドの売却をする必要はありません。
【損切りする】
損失を確定させるためにインデックスファンドを売却する方法ですが、一般的には推奨されない方法です。
なぜならば、インデックスファンドへの積立投資は、「長期・積立・分散投資」の3つのポイントを押さえながら運用する投資法だからです。
ただし、評価損が気になり、私生活に影響が出るようであれば、新規購入の一時停止または損切りすることも必要になることがあります。
相場の暴落時には、メンタルのコントロールが重要です。
過去の歴史を見ると、一定期間保有し続けることでほとんどの場合、利益を得られています。
また、暴落時には、平均取得価格を下げるチャンスでもあるため、追加投資を行うことも一つの戦略です。
追加投資の検討
暴落時に追加投資を行うことで、平均取得価格を下げることができます。
ただし、市場がさらに下落する可能性もあるため、追加投資をする際には慎重に行う必要があります。
追加投資を行わなくても、インデックスファンドへの積立投資を継続していれば、暴落時には自然と平均取得価格を下げることができます。
暴落時に追加投資をするかどうかは、個人の投資戦略やリスク許容度によって異なります。
以下の点を考慮して決定することが重要です。
- リスク許容度
- 投資期間
- 市場の状況
【リスク許容度】
自分が快適に感じるリスクのレベルを理解し、それに基づいて投資を行うことです。
詳しくは、後ほど説明します。
【投資期間】
長期的な投資を考えている場合、暴落時に追加投資することで、将来的なリターンを高める可能性があります。
追加投資の判断は、リスク許容度を踏まえ、慎重に行いましょう。
【市場の状況】
暴落の原因や市場の状況を分析し、それが一時的なものか、それとも長期的なトレンドの変化なのかを判断しましょう。
ひとつの資産クラスに集中投資するのではなく、異なる資産クラスに分散して投資しておくことでリスクを軽減することもできます。
リスク許容度の評価
リスク許容度を判断するには、個人の投資目的、財務状況、投資経験、そして将来の計画など、多くの要素を考慮する必要があります。
投資は未来の市場動向を予測するものではなく、自己責任で行うものです。
以下の切り口で、ご自身のリスク許容度を評価してみましょう。
- 投資経験
- 年齢と投資期間
- 家族構成
- 年収と資産状況
- 性格
【投資経験】
投資に関する知識や過去の経験は、リスクを取る能力に影響を与えます。
投資期間が長いほど、過去に同様の経験をしたことがあると思います。
その際、どのように対処したか、また、その結果がどうであったのかを思い出してみましょう。
うまく対処できたのなら、リスク許容度は高いと考えることができます。
【年齢と投資期間】
若い方は、投資を継続できる期間が長くなるため、リスク許容度は高いと考えることができます。
一方で退職が近い場合は、投資を継続できる期間が短くなるため、慎重なアプローチが必要になります。
【家族構成】
家族構成もリスク許容度の判断には、重要な要素です。
子どもの進学や親の介護など将来の支出予定が多いほど、リスク許容度は低くなります。
【年収と資産状況】
安定した収入があり、十分な生活防衛資金があれば、より多くのリスクを取ることができるため、リスク許容度は高いと考えることができます。
【性格】
リスクに対する個人の感情や性格も、リスク許容度を決定する際の重要な要素です。
評価損が気になる場合は、リスク許容度は低いと考えることができます。
これらのポイントを自己評価することで、リスク許容度を定量的に把握することができます。
また、リスク許容度は、様々なライフイベントの発生により変化します。
そのため、リスク許容度の見直しと再評価を定期的に見直し、それに基づいて投資判断を行うことが重要です。
まとめ
今回は、相場が暴落したときの対応について、まとめてみました。
相場の暴落は、いつか「必ず」起こります。
相場の暴落を恐れ、投資をしないという選択肢もありますが、インフレによる現金の価値が低下することを考えれば、リスク許容度の範囲内で資産運用をすることも必要だと思います。
相場の暴落時に慌てないためにも、暴落を想定し、適切な対応方法を考えておきましょう。
なお、本記事に記載した情報や意見によって発生した損害や損失については、一切責任を負いません。
投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
最後に投資における心理学的なアプローチの参考資料として、投資家メンタリストSaiさんの『自分のマインドを自在に操る超投資法』をご紹介します。
この本には、投資家が無意識に陥りがちな心理的な罠を避ける方法や、投資で成功するために必要なメンタルの要素、さらには著者自身の経験に基づいた具体的な投資テクニックなどが紹介されています。
「インデックス投資」についての本ではありませんが、「長期・積立・分散投資」では、相場の暴落を避けては通れません。
そのため、投資の知識だけでなく、メンタルコントロールに関する知識も学んでおくことはムダではないと思います。
市場全体に広く投資できるインデックス投資の強みを最大限に活かし、長期的な視点で投資を行い、市場の変動に左右されずに資産を増やしていきましょう。
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