給与所得は上がっているにも関わらず、手元に残るお金が減っていませんか?
これは、物価の上昇や税金の増加などが原因とされています。
このような折、2016年1月から始まったマイナス金利政策が、3月19日の金融政策決定会合で、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることに決定されました。
日銀は、「賃金の上昇をともなう2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったこと」を理由にしていますが、ブレーキを踏むのが早すぎではないでしょうか?
また、金融市場に大量の資金を供給する目的で行ってきた上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の新規の購入も終了になります。
これらは、私たちの生活にどのような影響をあるのでしょうか?
私の考えをまとめてみました。
良かったら、ご一読ください。
目次
マイナス金利政策解除とその影響
マイナス金利政策解除の影響として、以下4つの影響が考えられます。
それぞれについては、もう少し詳しくまとめてみます。
- 預金金利の上昇
- 住宅ローン金利の上昇
- 企業の設備投資の低下
- 円高の進行
1. 預金金利の上昇
ある程度の金利上昇が必要となりますが、預金金利が上昇した場合、大きな金融資産を抱えるヒトにはメリットとなります。
株式投資をする人が少ない日本では、大きな金融資産を抱えた「高齢者」を中心に消費が拡大するかもしれません。
一方で上場投資信託(ETF)の新規の購入も終了したため、株式投資には、厳しい環境となるかもしれません。
2. 住宅ローン金利の上昇
住宅ローン利用者の約7割が変動金利を利用しているため、変動金利でローンを組んだヒトにとっては、負担増になります。
また、住宅ローン金利が上昇することで不動産市場の冷え込むことが考えられます。
さらに不動産投資信託(REIT)の新規の購入も終了したため、不動産相場には、厳しい環境となるかもしれません。
3. 企業の設備投資の低下
多くの企業は、銀行から融資を受けて、設備投資を行っています。
金利が上昇した場合、この融資のローン返済の負担が高くなります。
このことにより企業側の金利負担が高くなり、設備投資が控えられることにより経済全体に悪影響が出てくるかもしれません。
4. 円高の進行
海外との金利差から急激な円安が進んでいましたが、日本の金利が上昇すれば、円高になるかもしれません。
日本とは逆に海外で「利下げ」が行われれば、金利差はさらに小さくなり、円高も加速するでしょう。
円高により輸入物価が下落すれば、日本の物価も下がる可能性があります。
一方で日本株を買っている海外の投資家にとっては、自国通貨に換算した際の株価が上昇することになるため、「利益確定」により日本株は下落することになるかもしれません。
現状維持が続くのではないだろうか?
以下の理由により、私は、現状が維持されると考えています。
【過去の利上げで起きたこと】
2000年8月に行われた利上げは、アメリカのITバブル崩壊の影響による景気悪化で、2001年2月に利下げに転じました。
2006年7月、2007年2月に続けて行われた利上げも、2008年9月のリーマンショックのため、10月に利下げが決定されました。
このように過去の利上げは、海外の景気悪化の影響により短期間で修正されています。
日銀もマイナス金利政策の解除後、ただちに追加の利上げは行わず、当面は緩和的な環境を続ける方針のようです。
【莫大な分配金】
日銀の保有するETF等は、分配金だけで約1兆円になります。
これは、日銀が発行している国債の利息とほぼ等しく、ETFを売却することで景気が悪化する恐れもあるため、すぐに売却することはないと考えられます。
一方で海外では、高金利による景気悪化の兆候がみられます。
このことを踏まえれば、しばらく現状維持が続くのではないでしょうか?
これらを踏まえて、何をすべきか?
今後、海外の影響で日本の景気が悪化することはあると思います。
一方で景気が悪かった2010年から購入を開始した日銀のETFは、現在、約70兆円と購入額の2倍近くになっています。
このことを踏まえると目先では、景気悪化による下落があるかもしれませんが、新NISAを活用した長期・分散投資は有効な対策になるのではないでしょうか?
ただし、税制面で優遇があるものの新NISAには、価格変動リスクもあります。
したがって、このリスクを把握したうえで、この制度を活用する必要があります。
まとめ
マイナス金利政策解除とその影響について、私の考えをまとめてみました。
すぐに悪影響は出ないと思いますが、税制面で優遇があるものの新NISAを活用し、資産形成をすることは悪い選択ではないと思います。
もちろん、価格変動リスクを把握したうえでの活用になりますが…
少なくとも手元に残るお金を増やす手段のひとつにはなると考えています。
なお、本記事に記載した情報や意見によって発生した損害や損失については、一切責任を負いません。
投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。