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【サテライト運用】 コレクタブル投資は難しい

現金や現金同等物、株式や投資信託、債券に該当しないものを対象とする投資として、「オルタナティブ投資(代替投資)」があります。

「コレクタブル投資」は、この「オルタナティブ投資」に含まれます。

「コレクタブル投資」の対象となるアイテム(コレクタブルアセット)は、個人的に所有する希少性、独自性、歴史的重要性、または美術的な価値のあるものとされています。

そのアイテムを楽しむだけでなく、時間の経過とともに価値が高まることを期待できるため、「趣味と実益」を兼ねた投資と言われることもあります。

今回は、この「コレクタブル投資」について、まとめてみました。

ご一読いただければ、幸いです。

目次

コレクタブル投資の対象になるアイテム(コレクタブルアセット)

コレクタブル投資の対象になるアイテム(コレクタブルアセット)は、美術品、ジュエリー、腕時計、トレーディングカード、ヴィンテージカー、希少本、高級ワイン、スニーカー、コイン、切手などの収集可能なものを指します。

コレクタブルアセットは個人的に所有することができ、希少性、独自性、歴史的重要性、または美術的な価値があるものと定義することができます。

コレクタブル投資のメリットは、ポートフォリオの多様化やインフレ対策などがあげられますが、最大の魅力は、コレクションとしての価値が高まり、大きなリターンが得られる可能性があることです。

また、無名作家の作品が、大化けするなどの成功事例が取り上げられる機会も増え、市場拡大も期待されます。

何より自分の好きなものを所有することが、資産運用になることは大きな魅力です。

しかし、コレクタブルアセットの価値は、収集者の主観的なものであることが多く、市場の需要、アイテムの状態、希少性、出所などによって決まります。

その他にもレンタルしない場合、インカムゲインによる利益が期待できないこと、真贋を見極める知識が必要であること、適切な保管スペースが必要であること、市場価値の決定が難しいことなどがデメリットとして挙げられます。

コレクタブルアセットで「インカムゲイン」を得る方法

コレクタブルアセットは、配当や利息といったインカムゲインは基本的には発生しません。

保有期間中に貸し出したり、それを担保に資金を調達しない限りは、保有期間中に収入が入ることはなく、基本的に、金銭的なリターンを得られるのは売却時のみとなります。

コレクタブルアセットのレンタルについては、一部の商品でサービスが存在しますが、その範囲は限られています。

例えば、高級時計やバッグなどのレンタルサービスなどが存在します。

しかし、これらのサービスは一部の商品に限られ、全てのコレクタブルアセットに対してレンタルサービスがあるわけではありません。

また、コレクタブルアセットのレンタルには多くの課題があります。

例えば、借り手の存在と信用、商品の状態の保全、回収リスクなどが挙げられます。

これらの課題を解決するためには、借り手の精査や信頼関係の構築、商品の管理と保管、適切な契約と保証などが必要となります。

したがって、コレクタブルアセットのレンタルは可能ですが、その範囲と実現可能性は商品やサービスの具体的な内容によります。

「トケマッチ事件」から分かること

「トケマッチ事件」は、高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」を運営していた会社「ネオリバース」の社長と社員が、所有者から預かった腕時計を無断で売却したとされる事件です。

2024年1月31日に「腕時計のシェアリングサービス」を名乗った「トケマッチ」の運営会社「ネオリバース」が解散し、容疑者は、中東・UAE(アラブ首長国連邦)のドバイに逃亡したとみられています。

東京都内だけでも約140本の時計が被害に遭っており、そのほとんどは売却され、約1億5000万円が着服されたようです。

この事件は、所有者から預託をされた腕時計を管理して貸し出し、使用料金を徴収するというビジネスモデルを悪用したものです。

本来は、契約終了後に腕時計を回収して、さらにその腕時計を預託時の状態に戻すはずでしたが、実行されることはありませんでした。

預託契約自体は、「預託者に有利」なものだったようですが、契約が履行されず、預託された腕時計が所有者に返却されなかったのです。

このように「コレクタブルアセット」のレンタルは、難しいことが分かります。

「純金茶わん窃盗事件」から分かること

2024年4月11日、日本橋高島屋(東京都中央区)で開かれていた展示販売会「大黄金展」の会場から純金製茶わん(販売価格 約1,000万円、重さ 約380g)が盗まれる事件が発生しました。

盗まれた「純金茶わん」は、犯人により約180万円で売却された後、買取店から別の店に約480万円で即日転売されました。

この日の金の買取価格は、12,577円/グラムでしたので、犯人は、相場の1/3の価格で売却し、買取店は相場通りの価格で転売したことになります。

販売価格は「金の価格」に「美術品としての価値」と「種々の手数料」が付加された金額のため、相場の約480万円よりも安くなります。

犯人は、買取店に足元をみられ、買取相場の1/3販売価格の1/5で現金化したのです。

素材自体に価値がある「純金」でも現金化する際は、価値を維持することができませんでした。

今回は、幸いにも溶解して「地金」にされずに「原形」を留めたまま、回収されましたが、このように「コレクタブルアセット」の価値は簡単に変動することが分かります。

まとめ

今回は、「オルタナティブ投資(代替投資)」の一種である「コレクタブル投資」について、まとめてみました。

「コレクタブルアセット」への投資は、自分の好きなものを所有することができ、ポートフォリオの多様化ができるなど、様々なメリットがあります。

お金持ちは、「再販売価格」も考えて、支出をすると言いますが、「コレクタブルアセット」は、アイテムの状態、希少性、出所などによって価値が決まるため、投資判断には注意が必要です。

その価値も主観的であるため、「売りたいときに売れない」、「買値から大幅に安い値段で買い叩かれる」というリスクがあるためです。

真贋判定やアイテムの管理ができない場合は、現金や現金同等物、株式や投資信託、債券などで資産運用をする方が良いでしょう。

また、分割できないものの場合は、相続時にトラブルの原因にもなります。

「コレクタブルアセット」は、あくまで「趣味」と割り切って、相続時の対策もしておくのがオススメです。

なお、本記事に記載した情報や意見によって発生した損害や損失については、一切責任を負いません。

投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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