「鬱(うつ)は心の風邪」という表現は、日本でうつ病の認識が高まるきっかけとなった製薬会社のキャンペーンのスローガンです。
このスローガンは、うつ病が誰でもかかる可能性があり、治療可能な病気であることを示唆しています。
この表現には、うつ病に対する誤解や偏見を減らすという意図もあり、心療内科の受診者が増えたこともあり、抗うつ剤の市場も急成長しました。
その一方で「風邪ならばすぐに治る」という誤った理解を深める結果にもなってしまったという指摘もあります。
「誰でもかかる可能性がある治療可能な病気」という認識が広がったことは、良いことですが、「風邪ならばすぐに治る」という誤解が広がったことは、残念なことです。
今回は、うつ病の典型的な症状を紹介します。
もし、うつ病の症状がある場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。
目次
うつ病の症状
うつ病の症状は、気持ちとして生じる心の症状と、体に現れる症状の両方があります。
以下は典型的なうつ病の症状の一部です。
【心の症状】
- 一日中気分が落ち込む
- 趣味など今まで楽しかったことが楽しめない
- この世から消えたいと思う
- 自分は無価値な人間だと思う
【体に現れる症状】
- 食欲がない
- 食欲が増す
- 寝つきが悪い
- 夜中や朝方に目が覚める
- 疲れやすい
- 気力がわかない
- 性欲低下
- 仕事や家事などに集中できない
- 話し方や動作が以前よりも遅い
- イライラ、そわそわして落ち着かない
- 心臓がどきどきする
- 手や足が震える
- 呼吸が苦しくなる
- 汗が出る
- 胃痛、頭痛
うつ病の初期症状には不眠と不安が生じることが多いです。
不安と不眠により心臓がどきどきする、呼吸が苦しくなる、手や足が震える、汗が出る、胃痛、頭痛などの体の症状としても現れます。
また、仕事が終わり、自宅でくつろいでいる際に「じんましん」が出るという場合もあります。
もし、以下の症状が2週間以上続く場合、うつ病の可能性がありますので、心療内科等で専門家の診察を受けることをオススメします。
【専門家の診断を受けた方が良い症状】
- 毎日、気分が沈んでいる
- なにに対しても楽しめなくて、興味がわかない
- 食欲がない、体重が減った
- 寝つけない、夜中や朝方に目が覚める
- 話し方や動作が遅くなった、イライラしたり落ち着きがない
- 気力がなく、疲れやすい
- 仕事や家事などに集中できない
- 「自分には価値がない」とか「◯◯に対して申し訳ない」と感じる
- この世から消えてしまいたいと考える
もし、このような症状が当てはまり、強い苦痛を感じていたり、社会的な機能が障害されている場合、早急な治療を受けることが大切です。
発見が早ければ、治療期間も短くなりますし、投薬とカウンセリングのみの通院治療ですむ場合もあります。
「うつ」になるリスクを減らす方法
以下のポイントは、うつ病を予防するだけでなく、一般的な健康維持にも役立ちます。
また、うつ病の予防には、自分の性格や考え方を知り、適度な運動をすることも推奨されています。
一方でうつ病は自分で治すことは難しいため、自覚症状がある場合は、専門家の指導のもとで適切な治療を受けることが重要です。
【ぐっすり眠る】
睡眠不足はストレスの蓄積につながり、うつ病のリスクを高めます。
毎日の質の良い睡眠を確保することが重要です。
眠れない場合は、心療内科で睡眠薬を処方してもらうことも可能です。
【規則正しい生活】
決まった時間に起きて、夜更かしを避け、三度の食事を守ることで、生活にリズムが生まれ、心身が安定します。
【日光浴】
日光を浴びることでセロトニンの分泌が促され、気分が安定します。
特に朝の日光浴が効果的です。
【有酸素運動】
ジョギングやウォーキングなどの運動は、ストレスの発散に役立ちます。
【ストレス発散】
自分に合ったストレス発散法を見つけ、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
【バランスのよい食生活】
栄養バランスの取れた食事を摂ることで、セロトニンの生成に必要な栄養素を補給できます。
簡単に取れる食品として、私は「ゆでたまご」をオススメされました。
【考え方を見直す】
ネガティブな思考パターンを改善することで、ストレスに対する耐性を高めることができます。
自分で対処が難しい場合は、専門のカウンセラーを利用するのも有効です。
まとめ
「鬱(うつ)は心の風邪」という表現により「誰でもかかる可能性がある治療可能な病気」という認識が広がったことは、良いことですが、「風邪ならばすぐに治る」という誤解が広がったことは、残念なことです。
うつ症状を無視して、放置した場合、自然に治癒することもありますが、早めに専門家に相談することをお勧めします。
20年以上前ですが、うつ症状を無視し、仕事を続けたため、半年ほど寝込んだ後、退職することになりました。
体重も80 kgほどあった体重も30 kgほど減り、復帰には1年以上かかりましたが、20代半ばだったということもあり、再スタートすることもできました。
一方で「ネガティブな思考パターンの改善」が不十分だったため、環境の変化(「組織変更」、「パワハラ」など)により40代になり、再び、「うつ」になりました。
前回の経験があったため、早期に心療内科を受診することにより、投薬のみの通院治療で回復することができました。
また、「ネガティブな思考パターン」については、「カウンセリングセミナー」を受講することで改善させることができました。
もし、うつ病の症状がある場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。
最後に「うつ」になるリスクを減らす方法の参考資料として、樺沢 紫苑さんの『精神科医が教えるストレスフリー超大全』をご紹介します。
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